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3DモデルおよびXR技術を用いた体感型都市設計ツール、小型化・クラウド化を実現した実証実験の 成果が国土交通省「Project PLATEAU」にて公表

3D都市モデルと「Tangible Interface XR」を活用した市民参加型まちづくりの新手法の全国展開を目指す、2024年度の実証実験事業参画も決定しました。

2024年04月23日

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本ニュースリリースは、サイバネットシステム株式会社、インフォ・ラウンジ株式会社、株式会社山手総合計画研究所の三社から同一文面で配信しています。重複して受信される場合がございますが、予めご了承ください。

インフォ・ラウンジ株式会社(本社:横浜市都筑区、代表取締役社長:肥田野 正輝)、サイバネットシステム株式会社(本社:東京都、代表取締役 社長執行役員:白石 善治)、株式会社山手総合計画研究所(本社:横浜市中区、代表取締役:片岡 公一)は、国土交通省主導「3D都市モデル整備・オープンデータ化プロジェクトPLATEAU(以下「Project PLATEAU※1」)」のユースケース開発事業の一つ「PLATEAU YOKOHAMA」に2年連続参画しました。

この度、本事業において三社で共同開発したXR技術を用いた体感型アーバンプランニング(都市設計)ツール「Tangible Interface XR(タンジブル・インターフェース・エックス・アール)」の2023年度の実証実験の成果が、「Project PLATEAU」公式サイトにて公表され、また2024年度のプロジェクトも引き続き採択されたことをお知らせいたします。

「PLATEAU YOKOHAMA」プロジェクトとは

これまで行政機関やデベロッパーの主導によって行われてきた都市計画の検討において、近年は市民参加型によるプロセス設計が重要視されるようになっています。本プロジェクトは、都市に関わる行政担当者、専門家、住民など全員が主体となり、自分たちの都市の未来を共に考えてイメージを共有できるよう、デジタル技術を活用した「Tangible Interface XR」開発のために結成されました。
市民参加型まちづくりの新手法として、同ツールを活用した都市設計の全国展開を目指しています。

2023年度 実証実験の成果

Tangible Interface X

2023年の実証実験(ワークショップ)は、36年後に開港200周年を迎える山下公園とその周辺エリアを対象に実施されました。同エリアは、沿道のビルの更新や山下ふ頭の大規模開発などが中長期的に予定されており、「変わるもの・変わらないもの」「変えていきたいもの・残したいもの」という視点でディスカッションを行いました。

参加した横浜市民約20名は、エリアごとにグループに分かれ、タンジブルユニット10台を同時に稼働させて都市計画を検討しました。活発な議論の結果、通りを歩行者空間化する案(図)や、水辺を活用する案などが作成されました。

多様な視点やアイデアがその場で可視化されることで、他の参加者と意見を共有しやすくなることが評価されました。

図:タンジブルインターフェースを活用して考案されたアイデア例
図:タンジブルインターフェースを活用して考案されたアイデア例

オブザーバーコメント:横浜市都市整備局 奥住氏

各テーブルに専門家がいなくても活発に議論が進む仕組みだと実感することができました。議論の中で「これじゃないよね」といったケースも気楽に試すことができるなど、便利なツールだと思います。

また、街が常に変化していく中で、参加者の多くが今の横浜の風景を大事にしていらっしゃるということを、皆様が議論されている中で感じることができました。市民の皆様の思いを受け止めて今後の街づくりを考えていくにあたり、このツールがより一層便利になって活用できるようになることを期待しています。

国土交通省主催「Project PLATEAU」ユースケース公表ページ

2023年度の実証実験の詳細は、下記の「タンジブルインターフェースを活用した住民参加型まちづくり等」をご覧ください。
https://www.mlit.go.jp/plateau/use-case/uc23-09/

技術を用いた体感型アーバンプランニングツール「Tangible Interface XR」とは

「Tangible Interface XR」は、建築物の評価に利用される都市模型(ジオラマ)とVRによって、都市デザインをインタラクティブに行えるツールです。台上の都市模型の形状と配置を、実寸大の3Dデジタルツインの景観として再現し、人物や調度品の模型を合わせてVRヘッドセットやディスプレイに表示することができます。

模型はタンジブルインターフェース※3と呼ばれるコンピュータ内のデジタル情報を直接操作できる機能を持っており、本ツールでは各模型を動かすとVR内に再現される都市の景観がリアルタイムに変化します。実際に街の景観がどのように変わるのかを試しながら議論を行い、新しいアイデアが出ればその場で模型を動かして視覚化が可能となります。

専門知識を持たない一般市民の方々が率直な意見や感想を出しやすくなり、多様な意見を取り入れた街づくりの実現が期待されます。

2023年度のワークショップで披露した「Tangible Interface XR」の主なバージョンアップ内容

前年度の実証実験の結果を踏まえ、筐体の小型化や管理ソフトウェアのクラウド化などのバージョンアップを行いました。

■筐体(都市模型を置いて動かすテーブル型の躯体)の改良

  • 小型化

    組立時イメージ
    従来版と原理はそのままに、寸法、材料を見直し、一人で楽々と抱えて持ち運べるように小型、軽量化しました。前年度は約5m四方のテーブル型でしたが、本年度は50x30x30cm程度と、約1/3スケールの箱型に改良され、ワークショップでの可搬性・利便性が向上しました。各個体は並べて同時使用することもできます。
  • スマート化
    タンジブルユーザインタフェースソフトの実行やディスプレイ表示を行う機器を、小型コンピュータ(Raspberry Pi)に変更し、躯体内に内蔵しました。躯体を独立した機器として取り扱えます。また、VR再現用にテーブル下面から都市模型を撮影するカメラを赤外線対応にしたため、可視光反射の影響を受けにくく、光学的な認識性能も向上させています。
  • 天板の液晶ディスプレイ化

    液晶ディスプレイ
    模型を配置する躯体の天板にあたる部分に透過液晶ディスプレイを用いました。前年度、天板にはプロジェクターで映像表示を行いましたが、本映像提示は天板のディスプレイのみで行えるようになり、設計がシンプルになったと同時に投影の調整も不要になりました。
  • 管理ソフトウェアのクラウド化
    ワークショップで模型操作を行う各躯体や、VR表示を行うソフトウェアは、すべてインターネット接続され、クラウド上で稼働するサービスプログラムを通じて管理されるシステムに変更しました。複数の処理を同時並行で行えるため、ワークショップのスケジュールやチーム編成の設計が柔軟になり、多地点で同時開催も可能になりました。

■VRソフトウェアの改良

  • ストリートファニチャーモデルの外部登録
    ワークショップで検討に用いる3Dモデルデータを上述のクラウドサービスにあらかじめ登録しておき、VRソフトウェアにおいてダウンロードして使用できるように改良しました。あらかじめVRソフトウェアにコンテンツを実装しておく必要がなくなり、運用利便性を高めます。
  • 複数のカメラ視点
    ワークショップ中に検討する風景を複数の視点から同時に確認したいという要望があり、VRソフトウェアに一人称の視点だけではなく、例えばドローン視点のような客観的な視野を複数提示できるように機能を拡張しました。

今後の展望について

PLATEAU YOKOHAMAプロジェクト代表コメント
インフォ・ラウンジ株式会社 小林 巌生 氏

私たちは、3D都市モデルやXRのような最新のデジタル技術を応用することで都市計画を民主化することに挑戦しています。従来、このような取組に参加するには高い専門性が必要とされていましたが、タンジブルインターフェースを活用することで、専門性は問わず、子どもからお年寄りまで、一緒にまちの未来の姿について話し合うことが可能です。

11月には、バルセロナで開催されたスマートシティーエキスポワールドコングレスにタンジブルインターフェースを出展し、世界からの来場者にも体験してもらいました。都市計画分野における市民参加の手法の開発という課題が世界共通のものであることがわかったのと同時に、私たちのソリューションが有効であることも確認することができました。

2024年度は本ソリューションを用いたワークショップを全国で展開していきます。複数の都市開発事業者や全国自治体との取り組みを予定しており、都市計画における異なるフェーズに対する本ソリューションの有効性の検証を進めて参ります。

注釈

※1: 「プロジェクトPLATEAU」:国土交通省が主導する、日本全国の3D都市モデル整備・活用・オープンデータ化プロジェクト。3D都市モデルの整備とユースケースの開発、利用促進を図ることで、 全体最適・市⺠参加型・機動的なまちづくりの実現を目指す目的で推進されている。
https://www.mlit.go.jp/plateau/about/

※2:デジタルツイン:サイバー空間内に物理空間の環境を再現し、モニタリングやシミュレーションを可能にする仕組みのこと。この時に構築されたサイバー空間内の「電子の双子」そのものを指す場合もある。

※3: タンジブルユーザインタフェース(英: tangible user interface):マサチューセッツ工科大学(MIT)教授石井裕が提唱するユーザインタフェースの形態で、形のない情報を直接触れることができる(タンジブル)ようにした、より実体感のあるインタフェース。「タンジブル」とは「実体」の意味。

インフォ・ラウンジ株式会社について

地域密着型のIT総合パートナーを目指し、2007年に横浜で創業しました。「ICTを活用して社会の中のあらゆるバリヤーを取り除いて行くこと」をミッションに、主に以下の3つの軸で事業活動を行っています。
1.地域情報化:企業、NPO、公的機関など多様な主体の情報活動ニーズに応える、Webを活用したソリューション提案
2.オープンデータ:行政機関を中心としたオープンデータ環境の構築やオープンデータを応用したアプリケーションの構
3.福祉・教育:ウェブやスマートデバイスの応用による、多様な人々の社会参加

インフォ・ラウンジ株式会社に関する詳しい情報については、下記Webサイトをご覧ください。
https://info-lounge.jp/

 

株式会社山手総合計画研究所について

「未来にとって素晴らしい過去となる現在を創る」事を基本目標として都市や建築の計画や設計を手がける会社です。
1983年の設立以来、横浜を中心に多くの実績があります。常に未来へのアンテナをはりながら、地域のニーズを把握し、地域のためになるプロジェクトを丁寧に立案・推進します。主な事業内容は以下の通りです。
・都市や地域レベルの都市デザインに関するプロジェクトの立案・計画・設計や推進支援
・歴史的建造物の保存・活用をはじめとした建築の計画・設計
・公民連携による公共資産活用等のサポート
・行政やまちづくり活動におけるデジタル技術の活用

株式会社山手総合計画研究所に関する詳しい情報については、下記Webサイトをご覧ください。
http://www.y-p-c.co.jp/

 

サイバネットについて

1985年の創業以来、物理学などの科学技術とデジタル技術の両面に精通した技術者集団として、製造業の研究・開発・設計部門や大学・政府の研究機関を中心に、コンピュータシミュレーションやサイバーセキュリティ、AR/VR、医用画像処理などに関わるデジタルソリューションおよび技術コンサルティングサービスを提供しています。

近年は、CAE、MBD、MBSEを中心とした製造業におけるエンジニアリングチェーンの革新に加え、PLMやIoTを活用したサプライチェーンの高度化に関わる分野にもソリューションの提供範囲を拡大しています。また、サイバーセキュリティ分野では、最新の脅威に対応した先端的なソリューションを複合的に提供できる体制を構築してきました。さらに、AIを活用したプログラム医療機器の分野において国内で初めての医療機器承認ならびに公的医療保険の適用を受けるなど、医療AIのパイオニアとして業界をリードしています。

サイバネットシステム株式会社に関する詳しい情報については、下記Webサイトをご覧ください。
https://www.cybernet.co.jp/

本件に関するお問い合わせ:サイバネットシステム株式会社

内容について
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E-MAIL:eigyokikaku@cybernet.co.jp
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コーポレートマーケティング室
担当:宮本
E-MAIL:prdreq@cybernet.co.jp

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