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川崎重工業の航空宇宙事業本部が、制御系設計解析用CADとして米国マスワークス社のMATLAB/Simulink製品ファミリーを標準採用

1999年03月29日

米国The MathWorks, Inc.(マスワークス社)のMATLAB/Simulink製品ファミリーを国内で販売・サポートするサイバネットシステム株式会社(本社: 東京都、社長: 古角 芳信、資本金: 4億円)は、川崎重工業株式会社の航空宇宙事業本部が、MATLAB/Simulink製品ファミリーを制御系設計解析用CADの部門標準ツールとして採 用したことを発表した。川崎重工業は、航空宇宙部門での制御関連技術業務が増加する中で、開発業務の効率化や信頼性の向上を図る。

「航空宇宙技術分野における制御技術の重要性は、近年非常に高まってきています。制御技術は、航空機の飛行特性向上のみならず、乗員のワークロード軽減や 乗客の乗り心地改善、さらには安全性の向上のためにも不可欠なものとなりつつあります。」 今回のツール選定作業に参加した川崎重工業 航空宇宙事業本部  制御技術グループの佐藤 光政氏は、同部門で制御関連技術業務が増加し、その効率化や信頼性の向上が急務となっている背景をこう説明している。

佐藤氏は、制御系CADに対する要求仕様に関して次のように述べている。「航空機の制御系開発は、“設計目標/基準の設定 → プラント(制御対象)のモデリング → 制御系設計・解析 → オフライン・シミュレーション → フライトシミュレータ試験 → HIL(Hardware-in-the-loop)試験 → 実機地上/飛行試験”といった流れで進められます。導入する制御系CADには、この全ての段階の業務に対応できる機能を有することが求められました。これ を満足するためには、制御系CAD単体としての機能のみでは不可能で、社内の他のシステムやリソースとの接続性の良さも検討のポイントとなりました。」

川崎重工業によるマスワークス社製品の選定理由として挙げられているのは次のような点である。まず制御系CADに対する川崎重工業側の基 本的な要求仕様を満たしていること。既に同社内で多くのユーザがいること。フライトシミュレータやHIL試験用システムを提供する有力なサードパーティ製 品が多く、開発工程全体をMATLAB/Simulinkベースで一貫して進められる。プログラムの内容の多くが公開されていること。さらに佐藤氏によれ ば「顧客使用ツールとの関係、またマスワークス社の技術開発の姿勢を評価した」ことも理由となった。

今後の展開について佐藤氏は次のように述べている。「現在ではMATLAB/Simulinkのライセンスを社内ネットワーク上で運用管 理し多くのユーザに利用されています。今後はライセンス数の追加とともに、航空宇宙分野での制御系開発ツールとしてMATLAB/Simulinkを組み 込んだ独自の設計解析システムを構築して行こうと考えています。」

以上