2012年2月2日 |
数式処理技術の活用により、NASA宇宙探査プロジェクトで要求される高精度のモデリング、シミュレーションを実現 |
サイバネットシステム株式会社(本社:東京都、代表取締役社長:田中 邦明、以下「サイバネット」)は、グループ会社であるMaplesoft(本社:カナダ オンタリオ州、以下「メイプルソフト」)が開発・販売・サポートする数式処理・数式モデル設計環境「Maple™(メイプル)※1」、及び複合領域物理モデルシミュレータ「MapleSim™(メイプルシム)※2」が2012年1月25日、NASA(the National Aeronautics and Space Administration:アメリカ航空宇宙局)のJPL(Jet Propulsion Laboratory: ジェット推進研究所)に導入されたことをお知らせいたします。
今回導入されたMaple及びMapleSimは今後、JPLが関わる開発に幅広く活用される予定です。
NASAのJPLは、アメリカ初の人工衛星「エクスプローラー1号」を開発、また月に最初のロボット宇宙船を送ったり、太陽系の縁を探索するなど、宇宙探査の最前線にいる研究所です。2011年11月末には、これまで火星に微生物の生命反応があったかどうかを調査するため、愛称キュリオシティで知られる探査機ローバーを装備した最新の宇宙船を打ち上げました。 現在のJPLプロジェクトには、彗星、小惑星、太陽系の縁への宇宙船開発や、地球の陸地、海、そして大気を監視する衛星の開発などがあります。
Mapleは、より効率的で高性能な数学的分析、モデリング、シミュレーションが可能なため、導入により開発時間の短縮やコスト削減が期待されております。これまでの数値演算ベースのツールと異なり数式処理ベースで演算するため、致命的なエラーや非効率な演算を回避することができます。正確さが要求されるJPLのプロジェクトのような厳しい開発環境においては、Mapleのこのような特性が必要不可欠です。
また、Maple の利用に加え、JPLはMapleを計算エンジンとする物理モデリング・シミュレーション環境MapleSimについても、エンジニアリングワークフローの重要なツールとして採用しました。MapleSimはMaple の数式処理エンジンを活用することで、マルチドメインシステム※3やマルチボディシステム※4、プラントモデリング※5、制御系設計などのエンジニアリングモデルの開発に関する全ての複雑な数理対象を、高精度かつ効率的に扱うことを可能とします。
メイプルソフトの技術は、他の宇宙ロボティクス研究機関でも利用されております。 Dr. Amir Khajepour (ウォータールー大学 機械・メカトロニクスエンジニアリング部/メカトロニクス自動車 システム所属)は、CSA(Canadian Space Agency:カナダ宇宙局)と共に自律型ローバーの電源管理システムの開発に携わっており、この開発においても、ローバーのサブシステムのマルチドメインモデルを高精度にモデリングするためにMapleSimが利用されております。
Maple、MapleSim についての詳細は、下記問合せ窓口までお問合せ下さい。
注釈
※1 | Maple:制御系設計、信号処理、機械設計、最適化などの各種工学領域をはじめ、“数式モデル”を必要とする設計・研究開発のための数式計算技術をコアテクノロジーとした数式処理・数式モデル設計環境です。自動車、電気・電子、通信、金融をはじめとした技術計算分野における一般企業での利用や数学、物理学、工学系の大学での研究・教育を目的として全世界で利用されております。 |
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※2 | MapleSim:数式処理・数式モデル設計環境「Maple」上で動作する、複合物理領域でのモデリング・シミュレーション環境です。自動車部品やロボット、電気回路など、制御対象のモデリングや設計ツールとしての利用に加えて、理工系の教育・研究活動に導入されております。 |
※3 | マルチドメインシステム:熱や機構、電気回路などの複数の物理ドメインを含むシステム |
※4 | マルチボディシステム:複数の部品が複雑に結合した機械システム |
※5 | プラントモデリング:シミュレーション対象となるモデルを作成すること |
メイプルソフトについて
メイプルソフト(Maplesoft)は、対話的な数学計算ソフトウェアを開発・販売するリーディングカンパニーです。世界中の数学者・物理学者・エンジニア・設計者に愛用され、同社のフラッグシップ製品である数式処理・数式モデル設計環境「Maple(メイプル)」をはじめとして、数理技術を基本とした様々な技術計算製品を提供しております。
メイプルソフトの計算ソフトウェアは、アライドシグナル、BMW、ボーイング、ダイムラー・クライスラー、ドリームワークス、フォード、GE、ヒューレット・パッカード、ルーセント・テクノロジー、モトローラ、レイセオン、ロバート・ボッシュ、タイコ エレクトロニクスそしてトヨタ自動車など一般企業をはじめ、MIT、スタンフォード大学、オックスフォード大学、NASA、カナダ・エネルギー省などの先端的研究機関において教育や研究目的で利用されております。詳細は下記Webサイトをご覧ください。
サイバネットについて
サイバネットシステム株式会社は、科学技術計算分野、特にCAE(※)関連の多岐にわたる先端的なソフトウェアソリューションサービスの提供を行っております。
電気機器、輸送用機器、機械、精密機器、医療、教育・研究機関など様々な業種及び適用分野におけるソフトウェア、教育サービス、技術サポート、コンサルティング等を提供しております。構造解析、音響解析、機構解析、制御系解析、通信システム解析、信号処理、光学設計、照明解析、電子回路設計、汎用可視化処理、医用画像処理など多様かつ世界的レベルのCAEソフトウェアを取扱い、様々な顧客ニーズに対応しております。
また、ビジネスプロセスの効率化を実現する各種ソフトウェアの提供や、個人情報や秘密情報などの漏洩・不正アクセス対策、データのアーカイブと保護、認証強化などでクライアントPC・サーバのセキュリティレベルを向上させるITソリューションの提供をしております。
サイバネットシステム株式会社に関する詳しい情報については、下記Webサイトをご覧ください。
本件に関するお問い合わせ:サイバネットシステム株式会社
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