2006年09月21日 |
サイバネットシステム株式会社(東証第一部、本社:東京、資本金:9億9500万円、代表取締役社長:田中邦明、以下“サイバネット”)は、米国ANSYS社(米国NASDAQ市場上場 ANSS、本社:米国ペンシルベニア州キャノンスバーグ市、社長兼最高経営責任者:ジェームス・イー・キャッシュマン、以下"アンシス社")が開発・販売・サポートする汎用有限要素法解析ツールANSYSの製品ラインナップに新たに加わったプリント基板熱解析専用ツールANSYS TASPCBおよび半導体パッケージ熱解析専用ツールANSYS PTDの日本国内での販売・サポートおよび技術コンサルティングサービスを9月21日より開始することをお知らせいたします。
高集積化、高機能化、小型化が進む電子機器において、プリント基板やチップの熱対策の必要性は年々高まっています。ANSYS TASPCBおよびANSYS PTDは、これらプリント基板および半導体パッケージの熱解析を行う専用ツールです。ANSYSを含めた従来の熱解析ツールは、解析のための3次元モデルを独自に作成する必要があるため、プリント基板の銅線や半導体パッケージのような微細な構造体のモデリングに非常に時間がかかっていました。ANSYS TASPCBおよびANSYS PTDは、市場に広く普及している電気系のCADから構造データを直接取り込めることを特徴としており、解析モデルをより正確に、より早く作成することが可能です。これにより、実行した解析結果の信頼性の向上と、モデリングを含めた解析時間の大幅な短縮をはかることができます。
また、電気系のCADから基板データを直接取り込めることにより、設計初期段階でのモデル化も容易に実現します。従来であれば、電気的な仕様を満たした設計が完成した後に、熱解析や実機による実験を行っていたため、その熱対策は手段が限られ、経験に頼る部分が多々ありました。設計初期段階で熱解析を行えることにより、事前に熱対策を考慮に入れたチップの配置等も可能となり、熱対策も含めた設計期間の短縮、コスト削減など、大きな利益を得ることができます。解析専任者ではない回路設計者や基板の機構設計者にも手軽に熱解析が行えるように、ANSYS TASPCBおよびANSYS PTDは、自動メッシュ生成機能等を備え、非常に簡単に取り扱うことが可能です。
ANSYS TASPCBはプリント基板専用の熱解析ツールです。Cadence Allegro等の電気系CADのデータを取り込んでモデル化し、熱解析や熱流体解析を簡単な操作で行うことができます。
Cadence Allegroをはじめとした、ほぼ全ての主要な電気系のCADデータを、中間ファイルを介さずに直接インポートできます。基板形状、層、部品、トレース、ビアなどを正確に読み込むことができ、電気系CADデータから片面、両面、多層基板といった3次元モデルを作成します。また、電気系CADで設定した電力損失をインポートすることも可能です。
3次元の部品データを1,200点以上収録しています。このライブラリには熱解析に必要な熱特性情報も含まれおり、ジャンクション温度やケース温度、周囲温度、最大および標準の許容損失を定義できます。電気系CADから読み込んだデータにこの部品ライブラリをマッピングすることで、必要な3次元モデルをすばやく構築することができます。また、マッピングされた部品に関しては、部品毎に熱データを自動的にチェックする機能を搭載していますので、解析に至るまでの管理を分かり易く行うことができます。
専門知識が必要とされるメッシングも全て自動で行われるため、解析初心者でも簡単に解析することができます。部品温度やトレースの温度、またそれらを考慮した基板の温度予測に加え、以下の問題を予測する様々な解析を行うことが可能です。
基板上の空気の流れや、強制空冷を考慮した熱流体解析が可能です。基板上の空気領域や、流入口・流出口を定義し、近接する基板の影響を考慮した解析を行うことが可能です。解析結果は温度コンターや流速ベクトル、圧力コンター図として表示される他、クリックした部分のみ数値で表示したり、基板の各層ごとの温度コンター図を表示することもできます。
ANSYS TASPCBで作成したモデルはANSYSをはじめNASTRAN、FEMAP形式にインポートし、解析に使うことも可能です。
ANSYS PTD(Package Thermal Designer)は、半導体パッケージ専用の熱解析ツールです。Cadence APD(Allegro Package Designer)などの電気系CADとのダイレクトインターフェースを持っており、熱解析やモデリングの専門知識がなくても正確な3次元の熱モデルを構築し、解析することが可能です。
Cadence APD上で作成したデータを直接ANSYS PTDに転送して解析することができるので、正確で詳細なジオメトリを構築できます。またDXGやDWG形式にも対応しており、リードフレームやヒートスプレッダーのような複雑なモデルを読み込むことも可能です。
BGAやFCBGA、QFP及びSiP、MCMなどに用いられる様々なタイプのパッケージ形状をモデリングすることができます。
部品のホットスポットなどの温度予測はもちろん、熱抵抗やCTM(Compact Thermal Model)の予測も可能です。境界条件としては伝熱、放熱、固定温度のほか、ECADからインポートした電力損失データをそのまま使って定義できます。
ANSYS TASPCB 年間レンタル \1,840,000より
ANSYS PTD 年間レンタル \3,680,000より
初年度の販売として、ANSYS TASPCB 20本、ANSYS PTD 10本を見込んでおります。
このたびサイバネットでは、プリント基板の受託設計・解析サービスの一環としまして、ANSYS TASPCB を用いた熱解析のサービスを開始することとなりました。
これにより、従来からのシグナルインテグリティ(SI)解析(反射波形解析、クロストーク解析、タイミング解析、マルチギガビット解析)、EMI解析(ディファレンシャルモード解析、プレーン共振解析)、パワーインテグリティ解析、高周波電磁界解析に、熱解析を加えることにより、プリント基板設計における主要なシミュレーション技術をカバーし、多岐にわたる問題の解決・対策に対処できるようになりました。
デバイスの高速化・高集積化に伴い、高速デバイス=発熱デバイス という傾向が進んできており、プリント基板設計における熱解析・熱対策は今後さらに重要性を増すものと考えられます。 例えば、熱対策とSI/EMI対策は、部品配置上、相反する関係となることがあります。熱対策のためには、発熱部品を分散して配置したほうが望ましい場合でも、SI/EMI対策上はクリティカルデバイスを近づけて配置した方が良い結果が得られるようなケースです。このような場合、熱解析とSI/EMI解析を併せて行い、最適化を図る必要があります。
また、ANSYS PTD を用いた半導体パッケージの設計・解析サービスにつきましても、準備中です。 現在、プリント基板の設計解析と同様に、半導体パッケージ設計、パッケージの電気的モデル抽出、SI解析などのサービスにも対応しておりますが、熱解析につきましても、サービスの一つとして、加えて行く予定です。
米国アンシス社について
米国アンシス社は、1970年にSwanson Analysis Systems社として設立され、航空宇宙、自動車、機械、電機、電子、医療工学など幅広い産業の製品開発に携わるエンジニアや設計者のためのシミュレーションソフトウェアを 開発、全世界へと提供してまいりました。そして、設計の初期段階から試作実験と最終評価までの段階において、高速かつ効果的な製品開発を行えるように、オープンで柔軟性の高いソリューションを開発し続けています。
ANSYS社に関する詳細は、下記 Webサイトをご覧下さい。
サイバネットシステム株式会社について
サイバネットは、科学技術計算分野、特にCAE関連の多岐にわたる先端的なソフトウェアソリューションサービス提供を行っており、電気機器、輸送用機器、機械、精密機器、教育・研究機関など様々な業種および適用分野に対してソフトウェア、教育サービス、技術サポート、コンサルティング等を提供しております。取扱い製品は、構造解析、伝熱解析、電磁場解析、熱流体解析、音響解析、機構解析、制御系解析、通信システム解析、信号処理、光学設計、照明解析、高周波回路解析、MEMS設計解析など多様かつ世界的レベルのCAEソフトウェアであり、様々な顧客ニーズに対応しております。
サイバネットシステム株式会社に関する詳細は、下記Webサイトをご覧下さい。
註
CAE : Computer Aided Engineeringの略。 コンピュータによる工学的数値解析・シミュレーション
CAD : Computer Aided Design。コンピュータによる設計支援
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