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フォード社のパワートレーン部が、米国マスワークス社の制御系ツールを標準採用

1999年03月03日

米国The MathWorks, Inc.(マスワークス社、本社:米国マサチューセッツ州ナティック、社長:ジョン・リトル)は、フォード自動車が、同社のパワートレーン制御システム開 発を一貫してサポートするコンピュータ支援設計環境を実現するために、マスワークス社の制御系設計ツールを標準採用したことを発表した。MATLAB, Simulink, Stateflow, Real-Time Workshopを含むマスワークス社の制御系設計ツールを利用してパワートレーン制御開発環境を改善することにより、開発コスト、市場投入期間、必要な エンジニアリング資源等を削減・短縮しつつ、製品の品質と性能を改善するのが狙いである。

フォード社は、MATLAB/Simulink制御系設計ツールを用いて、パワートレーンの主要な制御アルゴリズムやロジックのインプリ メントを行っている。従来フォード社はハードウェアの試作に基づく設計プロセスに依存していたため、テストと設計変更のために非常に多くの時間とエンジニ アリング資源が必要となっていた。現在フォード社はMATLABを用いて試験データの解析を行い、Simulink, Stateflowにより設計案のソフトウェア・プロトタイプを迅速に作成しシミュレーションしている。これにより、フォード社のエンジニアは実際にハー ドウェア・プロトタイプを開発する前に、コンピュータシミュレーションにより多くの試行・検証ができるようになった。

1997年にフォード社との協力を発表して以来、マスワークス社は、フォードの制御系設計ツールに対するニーズをより良く理解するために 同社と密に作業を進めてきた。その結果、MATLAB, Simulink, Stateflow, Real-Time Workshopの製品群は、フォード社の要求仕様に応えるのみならず、自動車業界全体に対してを有効な支援ツールとなった。マスワークス社との協力関係 に基づき、フォード社は、MATLAB, Simulink, Stateflowを含むマスワークス社の製品群をフォードの全世界の開発拠点にて利用し、全社的なパワートレーン制御システム開発プロセスを再構築す る。

「フォード社による今回の標準採用は画期的な出来事である。」マスワークス社のジョン・リトル社長はこう解説する。「今回の標準採用は、 フォード社の、当社と当社製品に対するコミットメントを確かにするものであり、自動車業界にも大きな影響を与えるだろう。フォード社との戦略的なパート ナーシップを昨年発表して以来、当社とフォード社のエンジニアは共同で、フォード社の開発生産性を大きく向上させるために当社製品にどのような機能拡張が 必要かを検討・インプリメントしてきた。」

ダイムラー・クライスラー、フォード、トヨタ自動車をはじめとする主要な自動車メーカの信頼を得て、ここ数年、マスワークス社の設計ツー ルは、自動車業界において驚異的な伸びを示している。自動車業界におけるMATLAB, Simulinkのユーザ数は1994年から1998年の4年間で490%以上増加し、Stateflow, Real-Time Workshopのユーザ数も年々増大している。マスワークス社の設計ツールは、自動車業界の設計者及びエンジニアに、モデリング、アリゴリズム開発、シ ミュレーションから実装テストまでの統合された開発環境を提供する。

以上